研究分担者 |
南方 暁 新潟大学, 大学院・実務法学研究科, 教授 (70125805)
杉野 勇 お茶の水女子大学, 文教育学部, 専任講師 (80291996)
前田 智彦 札幌大学, 法学部, 准教授 (10292806)
守屋 明 関西学院大学, 法学部, 教授 (30127592)
仁木 恒夫 大阪大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80284470)
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研究概要 |
平成19年度においては,交通事故と家族問題を中心に,問題経験当事者についての面接調査を継続して行った。また,前年度3月に実施したインターネット調査のデータクリーニングと単純集計を行った。特定領域研究で実施した面接調査の結果と比較し,問題経験者の割合は約55%と極めて高い割合を示した。しかし,経験された問題類型の順位は家族問題が事件事故よりも多く第1位になったことを除き,大きな違いはない。平成19年7月には,3月に実施した調査のなかで,問題がまだ決着していないと回答した人々に対する追跡調査を実施した。これは当事者がどのような問題処理行動を取るかを実際に追いかけてデータを取るためと同時に,最初の調査に含めた個人の規範意識やパーソナリティに関わる変数が行動に影響を及ぼしているかどうかのデータを得るためである。夏から秋にかけて,追跡調査のデータクリーニングを行い,単純集計をしたあと,現在はさらに分析作業を進めている。 問題経験者が問題を法により処理しようとする場合,弁護士を知らない当事者が行く先は,主に自治体の無料法律相談か弁護士会の法律相談センターであると予想される。このため,平成19年度には,日本弁護士連合会と協力し,法律相談センターを主な対象とする法律相談利用者についての全国調査を実施した。この調査は,各地弁護士会の協力が得られたため,回収率は90%以上であった。同時に,全国の法律事務所を対象とした調査も実施したが,こちらはほとんど協力を得ることができなかった。しかし,両者の調査結果から,法律事務所には弁護士とのコネのある人が,法律相談センターにはそうしたコネのない人が相談に行くという明確な相違のあることが確認できた。法律相談についての調査データは,現在,データクリーニングと単純集計が終了し,データ分析の段階に入っている。この法律相談調査では,後日さらに面接あるいは質問票調査に応じてもらえるかを回答者に尋ねた。相当数の回答者に追跡調査を行うことができる見込みができたため,法律相談センター利用者を中心に,どのような追跡調査を行うかを現在検討している。 自治体の各種相談窓口や民間の相談機関利用者の調査については,機関側の協力を得ることが極めて困難であると考えられる。このため,これらの機関における問題処理の実情については,相談担当者に対する面接調査を行うことによって問題状況の把握を行うことを現在検討中である。
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