研究概要 |
1.前年度に引き続き、ロシアの石油・ガス輸出収入の資金循環を統計的に分析した。とくに、この輸出収入増加の財政,金融,対外経済関係に対する影響を詳しく分析した。石油・ガスからの税収に関わる資金循環については、とくに,ロシア連邦安定化基金に関する制度的,統計的研究を大きく伸展させた。安定化基金のインフレ抑制の役割(不胎化効果)についても,初めて統計な分析を行った。2008年からの安定化基金の予備基金,次世代基金への再編についても,その意義や問題点を検討した。 2.ロシアの石油・ガス部門の動向に関する研究を継続した。とくに,石油・ガスの生産・輸出の動向,CIS諸国への輸出をめぐる問題,パイプラインをめぐる政治経済学,石油企業の再国営化に関わる問題などについて研究を進めた。 3.ロシアの企業構造の問題について,国家コーポレーションという新しい組織形態に関する調査・研究を行った。国家コーポレーションは,企業の再国営化と並んで,今後のロシアの企業行動,産業政策,製造業の発展などを考えるうえで重要なものであることを初めて明らかにした。 4.以上の研究成果の一部は、米国スラブ学会(ニューオーリンズ)においてパネルを組織して発表した。また,その一部は、国際学術雑誌にも掲載された。さらに,研究代表者が,比較経済体制学会秋期大会の共通論題で,「ロシアの資本主義:資金循環から見たその特徴」と題する報告を行った。 5.ロシアの中長期経済予測に関する予備的作業を行い,需要サイドからの2020年までの予測モデルを仮設的に作成した。
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