研究概要 |
1. これまでの研究成果を研究代表者が編著者となる『石油・ガスとロシア経済』(北海道大学出版会, 2008年)にまとめた。同書には, 研究分担者3名のほか, 恒常的な研究協力者1名(金野雄五)が執筆した。同書では, とくに, ロシアの石油・ガス輸出収入に関わる資金循環を統計的に分析した。 石油・ガスと経済成長, 貿易, 財政との関係, いわゆるオランダ病をめぐる問題, 石油・ガス輸出収入と対外経済関係をめぐる問題が詳しく分析された。さらに, 石油・ガス産業の構造の問題や, ロシアの石油・ガスをめぐる国際関係(WTO加盟問題を含む)についても分析がなされた。同書はいくつかの書評で高い評価を得た。 2. 研究成果の一部は、欧州比較経済体制学会(モスクワ)においてパネルを組織して発表した。研究代表者と研究分担者1名が研究成果の報告を行った。研究代表者が報告したペーパーは,既に米国の学術雑誌(Eurasian Geography and Economics)のロシアの石油・ガス特集号に掲載された。同論文は,ロシアの石油・ガスの資金循環をめぐる特徴を, サウジアラビアとの比較のなかで分析したものである。ロシアとサウジアラビアの経済比較は, 世界的にも初めてのものとして注目された。 3. 研究成果の一部は、米国スラブ学会(フィラデルフィア)において2つのパネルを組織して発表した。研究代表者と研究分担者1名, 研究協力者1名(金野雄五), 海外共同研究者1名(ポポフ,ウラジミル)が研究成果の報告を行った。研究代表者の報告では, ロシアの中長期経済予測に関する研究成果(需要サイドから構築した2020年までの予測モデルとそれによる予測結果)を発表した。輸入代替型の経済成長に移行するとの予測が注目を集めた。
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