研究概要 |
研究課題に関して, 本科研費の参加メンバーは平成20年度に以下の作業を行った。 1. 2008年9月24〜25日に湘南国際村において, 過去3年間に蓄積された研究成果にもとづき国際銀行史に関する国際会議「19世紀と20世紀アジアにおける国際銀行業Intemational Bankhlg in Asia19^<th>-20^<th> Centuries」を組織し、各自が報告と討論に参加した。この結果、当該時期にアジアで活動した国際銀行間の具体的な競争や取引関係の発展が明らかになり、これまで研究史が乏しかった、19世紀および20世紀の国際銀行の営業活動や特質を比較史的に解明することが出来た。実質的な論議を確保するため、会議の参加者を内外21名の専門家に限定した。外国人参加者はYouseff Cassis(Geneva大学教授)、Herbert Bonin(Greth-Bordeaux大学教授)、Ronald Michie(Durham大学教授)、Simon Mollan(York St John大学上級講師)であった。この成果は、2009年8月にユトレヒトにおいて開催される国際経済史学会の国際銀行史に関するセッションの報告内容に反映される。 2. 上記の報告と討論にもとづき、主要参加メンバーは、『国際銀行とアジア1870-1913年』, (2009年中に慶應義塾大学出版会から刊行決定)による研究成果の出版を意図し、原稿を執筆した。第1編においては, 国際銀行業経営のバックグランドとなるグローバリゼーション,労働・資本移動といったマクロ経済上の変化, 経済活動のインフラとなる運輸・通信の発達,金融市場や幣制といった論点が網羅されている。第2編と第3編では,19世紀中葉期から第一次世界大戦前までの時期を対象に, アジアで活動した英国、仏国、独国、日本の、各国国際銀行の経営史が具体的に論述されている。
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