研究課題/領域番号 |
17203031
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
友杉 芳正 名古屋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (60085074)
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研究分担者 |
佐藤 倫正 名古屋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (60114948)
木村 彰吾 名古屋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10225039)
野口 晃弘 名古屋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90208314)
田中 弘 神奈川大学, 経済学部, 教授 (10064875)
徳賀 芳弘 京都大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70163970)
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キーワード | 財務情報 / 会計観 / 信頼性 / 表現の忠実性 / 利益の質 / 監査の質 / 会計不信 / 監査不信 |
研究概要 |
研究内容の「信頼性」概念については、IASB/FASB合同会議では「表現の忠実性」へ変化し、信頼性の程度の格差や多義性の存在により、市場関係者間や会計基準設定主体ですら合意がなく、信頼性の質を量的に表現するのが難しく、「表現の忠実性」の重視により「検証可能性」に関して、公正価値会計の導入が進めば、測定者と測定値の両方のバイアスを軽減する「直接的検証」に重点を置かざるを得ないことになる。財務情報の信頼性全般については、時価評価は見積要素が介在し、経営者の選択肢が広がり、会計制度が誤謬を招く恐れがある観点から「信頼性」にやや問題がある。監査情報の信頼性については、監査による財務情報の信頼性の保証面と、監査自体の信頼性の確保面の2面があり、内部統制報告書と内部統制監査の制度化によって、財務諸表監査自体の精度の向上が期待でき、日本公認会計士協会や金融庁等の改善対策の実施が必要である。実証分析については、SEC採用企業32社を対象として比較検討を行い、再計算利益の方が実績利益よりも株価関連性が高い結果が得られ、監査の質と報告利益管理の分析については、日本ではアメリカの先行研究結果と異なり、大監査法人が被監査企業の裁量的発生項目と株式のリターンとの関連性はなく、監査の規模と報告利益の質との関連性も見出せず、東証一部上場企業1,636社を対象にした信頼性に関するアンケート調査については、会計ビッグバンの有用性は時価会計の導入により信頼性が薄められ、時価会計の信頼性が懸念されている結果が出ている。それゆえ、会計観が混在する中で、「会計不信」と「監査不信」の解消には、財務情報の信頼性を高める観点から、財務情報の制度設計者、経営者、監査担当者および投資者の4者への包括的な提言を検討した。
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