研究概要 |
本研究では、卒業生調査を通して高等教育の成果を点検・評価するための研究として、量的分析・質的分析・理論研究を行っているが、量的分析に置いては、欧州委員会資金による欧州9ヶ国の共同研究(REFLEXプロジェクトhttp://www.fdewb.unimaas.nl/roa/reflex/index.htm)に日本から準メンバーとして参加している。ここでは、大学教育を長期的なキャリア形成にかかる効果という観点から総合的に把握し点検・評価するための枠組みを確立するとともに、共通枠組みでの卒業生調査を実施し、結果の分析・検討を行っている。欧州でのデータ整備はまだ完了していないが、13ヶ国30,000名の卒業生データが収集されている。日本では、2001年度大卒者を対象母集団とし、全国代表サンプルを得るために、地域性、機関種別、専攻分野、大学序列などの層化を行い調査サンプル設計を行った。調査の実施は郵送調査とweb調査(http://www.j-reflex.jp/)で行った。2007年2月までで62大学70学部2,500名から回答を得て、データクリーニング、分析の段階に入っている。調査結果の分析については、海外での学会CHER(独国)、欧州共同研究グループの会合(6月、9月、3月)において暫定データに基づいた報告をしている。 質的調査では、昨年度同様、日英仏独蘭を比較する枠組みを検討するため、海外共同研究者とワークショップを開催し、比較分析の理論的枠組の検討を行った(6月、9月、3月)。また、高卒直後に進学し若い学卒者が多く職業専門教育のウエイトが小さいなどの制度的共通性の多い英国に比較対象を絞って、英国側の海外共同研究者との調査実施に関する可能性の検討・準備を行った。その結果、高等教育機関のキャリアサービス、企業の人事担当者などに焦点を絞ったインタビュー調査による、平成19年度の日英での比較研究の設計を行った。 理論分析として、全体研究会を開催(6月、8月)し、これらの量的調査・質的調査の進捗状況の報告にあわせて検討を行った。
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