研究分担者 |
中村 満紀男 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (80000280)
河内 清彦 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (50251004)
宮本 信也 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (60251005)
長崎 勤 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (80172518)
安藤 隆男 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (20251861)
|
研究概要 |
[研究I]マクロ的・理論的検討:「人間における<差異>をどう捉え、どう生きるか:『同じ、しかし違う』矛盾律への理論的アプローチ」:(1)障害者処遇の歴史的研究:「精神薄弱」者施設の分離的保護の対象と具体的な処遇の様態について、カナダ(アルバータ州)の状況を検討し、米国と対照した。その結果、アルバータ州の施設における精神薄弱者の社会的位置は、米国に比して、あらゆる社会階層の保護施設としての性格が強いことがわかった。(2)教師の成長に関する研究の一環として、発達障害児の小集団指導における指導者の変容過程について、教師を目指す大学生を対象に検討した。1年間、月2回各50分の国語の小集団指導を行った。初めの指導方法は一元的であったが、子どもの認知特性等の情報が与えられたころから、発問や板書、教示・指示の仕方などの授業スキルが変化し、子どもの見方も多角的になった。また、本研究の一環として、地域への障害児理解・啓発を目的とした教育講演会(講師中村文子(日本自閉症協会)「自閉症って何」)も開催した。 [研究II]ミクロ的・実践的検討:「つくばコホートスタディ」:大六ら(2006)による発達障害スクリーニング質問票を用い,つくば市内の18の公立幼稚園において4歳児(年少)のスクリーニングを行った。担任用757名分,保護者用440名分の回答があった。その後保育場面の観察を実施して支援が必要な子どもを特定し,園への助言を行った。また,一部の子どもについては大学に招き,精査を行った。次に,観察の結果、支援が必要と考えられた31名と,特に問題はないと考えられた644名とを比較することにより,スクリーニング質問票の識別力やスクリーニング精度について検討した。その結果,保護者用16項目,担任教諭用21項目について高い識別力が見出された。また,スクリーニング精度としては,保護者用は感度.83,特異度.78,教諭用は感度.93,特異度.87という良好な値が得られた。さらに精度を高めるために,項目を追加し,再び市内の18の幼稚園に配布した。こうした成果について,鳥取県や栃木県の取り組みと比較対照すべく,発達心理学会第18回大会において自主シンポジウム「5歳児健診の現状と課題」を行った。
|