研究概要 |
非コンパクト半単純高階リー群の格子の剛性問題に対する新たなアプローチのひとつとして,「葉層化調和写像」についていくつかの考察を行った.とくに, (i)松島の消滅定理, (ii)性質(T), (iii)マルグリスの超剛性定理等の,この手法を用いての再証明を試みた. (i),(ii)に関しては部分的な結果を得ることが出来た.その際に,葉層化調和写像の存在に対する新たな障害が発見されたことは,大きな収穫であると考える.また,その障害を回避するために,擬軌道追跡可能性といった力学系理論が有効である可能性があることを認識するに至った.しかし残念ながら,平成20年度中に最終的な結果に到達することは出来なかった.平成21年度以降も継続してこの問題に取り組むつもりである. また,昨年度までと同様,本補助金を使って,Rigidity Schoolを開催した.会期は平成20年7月1日〜5日,場所は京都である.Francois LABOURIE(Universite de Paris-Sud),松元重則(日本大学),Alain VALETTE(Universite de Neuchatel)3氏の連続講演,およびTalia FERNOS(UCLA),見村万佐人(東京大学),Soyoung MOON(Universite de Neuchatel),Mikael PICHOT(JSPS, University of Tokyo)氏等の単発講演が行われ,主催者の納谷信(名古屋大学),井関裕靖(東北大学),金井雅彦(名古屋大学)や他の参加者との間で活発な研究討論が行われた.
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