研究課題/領域番号 |
17204008
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
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研究分担者 |
木村 芳文 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (70169944)
東海林 まゆみ 日本女子大学, 理学部, 教授 (10216161)
坂上 貴之 北海道大学, 理学研究科, 助教授 (10303603)
松尾 宇泰 東京大学, 情報理工学系研究科, 講師 (90293670)
大浦 拓哉 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (50324710)
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キーワード | Navier-Stokes equations / vortex dynamics / blow-up / double exponential transform / fluid mechanics / singular perturbation / point vortex |
研究概要 |
Navier-Stokes方程式にはCouette流やPoiseulle流といった厳密解がよく知られている。これらは、非線形項が垣等的にゼロとなる解であるが、では、非線形項が垣等的にゼロとなる解が上記のもの以外には存在しないことを証明しようとすると困難に遭遇する。韓国のChung-Ang大学助教授のKim Sun-Chul氏と岡本は、2次元の場合のこの事実に初等的な証明を与えた。軸対称流の場合には整関数のWiman-Valliron理論を利用することによって証明ができた(文献1)。 日本と中国が2年に一回ずつ開いてきた日中数値解析セミナーが本年開催された。これは韓国も加えた日中韓数値解析国際会議として北海道大学で開催され、岡本は組織委員長としてこの会議を成功裏に終えることができた。中国科学院のShi Zhong-ci教授や韓国ソウル大学の申東雨教授を招聘して情報交換をした。 坂上は南カリフォルニア大学のP.Newton氏と共同研究で、17年度の研究にもとついて渦点の運動に関する数値実験を本格的に開始した。 東海林は水面波の計算を続けた。東海林と岡本は、流体粒子の拡散に関するMaxwellの問題についても数値実験を行った。これはもともとJ.C.Maxwellが考えた問題で、ある種の物体が一定のスピードで一直線上を通り過ぎていったときに周りの流体粒子がどう運動するかを決定する問題である。一見簡単そうに見えるこの問題も流体の粘性がある場合と無い場合ではずいぶん違う漸近挙動がみられることがわかってきた。流体の物理的性質が異なれば全く異なる軌道が見えてくるのは面白い現象である。 大浦拓哉はIMT型の数値積分法(それはこれまでDEには及ばないと思われていた)でもDE型の数値積分法と同様のパフォーマンスを出せることを示した。 岡本は、ある種の差分法ではどのように細かく分点をとっても半線形放物型偏微分方程式の解の爆発現象が定性的にも再現できない例があることを発見した。
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