研究課題
本研究は銀河間中高温プラズマ(WHIM)からの酸素K-X線輝線を中心として観測するX線衛星DIOSのための4回反射X線望遠鏡を開発することが目的である。まず望遠鏡設計に関連しては、反射面金属の選択として、レプリカに実績のある金および白金の上に、軟X線での反射率を向上させる軽元素としてアルミを想定し、平面ミラーで試作しX線での反射率測定を行った。その結果金との混合層が予想以上に厚くなり予想された反射率は得られなかった。この点はアルミにかわる物質の探索が課題である。これに関連し平面ではあるが、4回反射のX線反射率が評価できる半径サイズ可変型精密鏡面支持装置を完成させた。次にエポキシレプリカ法によるフォイルミラー製作に関連しては、第1段の半径150mm近傍で、3ないし4分割の金または白金表面のミラーを約30枚作り、光軸方向ミラー形状の測定からその半数が2分角以下の角分解能(HPD)を持つことが分かった。またこのミラーとASCA衛星のX線望遠鏡工学モデルのハウジング、および新たに設計・製作したアラインメントプレートを用いてネスティング1層はあるが、焦点距離:700mm、ミラー半径151/135mm(=1段目上部半径/4段目下部半径)、光軸光斜入射角=1.0度を完成させた。精密な光軸調整と性能評価は次年度に行う。また結像性能の向上を図り、かつ4段一体型のミラー製作の基礎となる、高精度レプリカマンドレルの開発については、超精密研磨無電解ニッケルマンドレルの試作を行うとともに、研磨工程確立のための表面評価装置である走査型プローブ顕微鏡を導入した。これを用いて、試作した平面および円筒試作鏡の表面粗さを測定し、0.6nm程度の表面粗さを得たが、表面には研磨痕、粒状突起構造が見られ、更なる改良の必要性が明らかになった。
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Monthly Notices of the Royal Astronomical Society Volume 357, Issue 2
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Optics for EUV, X-Ray, and Gamma-Ray Astronomy II. Proceedings of the SPIE (Edited by Citterio, Oberto ; O'Dell, Stephen L.) Volume 5900
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