研究概要 |
本研究では,銀河系内天体に有利な南半球オーストラリアに目豪共同で建設された解像型チェレンコフ望遠鏡システムを用いてTeV領域の天体ガンマ線を探索し,銀河系内の超新星残骸の系統的観測という「ボトムアップ」的な側面から,宇宙線起源とその加速機構の解明を目指している。 本年度は,オーストリア,ウーメラの10m望遠鏡4台のアレイ(CANGAR00-III)を用いて,主に銀河系天体の観測を行い,そのデータを解析し超高エネルギーガンマ線の信号を探索した。観測は各月月明のない晴夜にのみ可能なので,研究者を毎月派遣して,十数個の天体について観測データを蓄積した。特に,南半球のナミビアでドイツなどが建設した同種の装置(H.E.S.S.)との結果との比較検討を行いながら,慎重にデータを解析し,結果の検討を行った。各天体に対する結果については,2007年7月の宇宙線国際会議(メキシコ)など,国際会議,各種研究会や国内学会で報告している。活動銀河核PKS 2155-304のフレアについては時間変動するガンマ線ブラックスを観測した結果をまとめ,学術雑誌で報告した。超新星残骸MSH15-52の観測では広がったガンマ線信号を観測し,論文は学術雑誌で印刷中である。また,電波銀河Cen Aと球状星団Cenω,超新星1987Aおよびその周辺天体をそれぞれ観測し,ガンマ線信号の上限値を得て,その意義を論じた論文を学術雑誌で報告した。他の天体についても解析が進んでおり,論文を投稿中および準備中である。
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