研究課題
宇宙で過去におきた超新星爆発にともなうニュートリノ(超新星爆発を起源とする背景ニュートリノ)を捉えることが本研究の目的である。スーパーカミオカンデでの観測においてバックグラウンドとなった現象は大気ミューニュートリノがチェレンコフエネルギーしきい値以下のミュー粒子を発生し、電子に崩壊する現象であった。このバックグラウンドは酸素原子核との反応が主であるため、反応時のガンマ線を捉えることによって軽減することができる。一方、背景ニュートリノの信号は反応時のガンマ線放出がなく、さらに反応の際に中性子を発生するため、それを同期信号として捉えることができれば信号を同定することができる。本年度の研究では時間的に近傍で起きた現象を捉えることができるように新たな電子回路の開発をおこなった。中性子同時計測の方法として、陽子との反応による2.2MeVのガンマ線、或いは水にガドリニウムを溶かして全エネルギー8MeVのガンマ線を捉えることを考えている。本年度の研究では2.2MeVガンマ線に対して検出効率が14%、バックグラウンド除去率が97.2%という結果をえた。また、ガドリニウムを使う方法を探るために、Am/BeソースをBGO結晶で囲み0.2%Gd水溶液で満たした容器に入れてガンマ線の測定をおこなった。その結果、ほぼ予想されるガンマ線の放出が観測されることがわかった。また、将来スーパーカミオカンデタンクに入れる場合にはガドリニウム化合物によるステンレス腐食に注意しなければならない。各種化合物について試験をおこない低酸素濃度の場合ならば塩化ガドリニウムは大きな腐食性を示さないこと、硝酸ガドリニウムは酸素濃度に関係なく腐食性を示さないことがわかった。
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Proceedings of the International workshop on Energy Budget in the High Energy Universe, Feb.22-24,2006 1
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