研究概要 |
宇宙で過去におきた超新星爆発にともなうニュートリノ(超新星爆発を起源とする背景ニュートリノ)を捉えることが本研究の目的である。平成19年度の研究においてはスーパーカミオカンデが今までに取得したデータを解析しニュートリノ強度の上限値を求めるとともに,核ガンマ線や中性子を同時計測してバックグラウンドを減らすための準備研究を行った。1996年から2005年までに取得されたデータを解析した結果,強度の上限値は18MeV以上の現象に対して,1.08/cm^2/sec以下(90%C.L)と得られた。これは,理諭的予想と比較して1-3倍のレベルである。この観測においてバックグラウンドとなった現象は大気ミューニュートリノがチェレンコファネルギーしきい値下のミュー粒子を発生し,電子に崩壊する現象であった。このバックグラウンドは酸素原子核との反応力注であるため,反応時のガンマ線を捉えることによって軽減することができる。 一方,背景ニュートリノの信号は反応時のガンマ線放出がなく,さらに反応の際に中性子を発生するため,それを同期信号として捉えることができれば信号を同定することができる。本年度の研究では昨年度に引き続き新たな電子回路を開発し,時間的に近傍で起きた現象を捉えることができるように準備した。中性子同時計測の方法として,陽子との反応による2.2MeVのガンマ線,或いは水にガドリニウムを溶かして全エネルギー8MeVのガンマ線を捉えることが考えられる。本年度の研究では中性子源とテストチェンバーをスーパーカミオカンデのタンク内に入れて測定を行い,それぞれの反応ともほぼ期待される信号がえられることを実証した。この結果を基に現在論文執筆している。
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