本年度は研究プロジェクトの総仕上げとして次のことをおこなった。 1)昨年度までに開発した電子打ち込み型CCD(EBCCD)による画像、とりわけシンチレーションデバイス利用したX線イメージの取り込みについて研究の仕上げを行い、2lp/mmの解像度を確認した。ここではシンチレーションデバイスとして医療用の増感紙(CWO)を利用したため解像度の限界はこれによって決まると考えられる。これらの成果は6月にフランスにて行われたNew Developments In Photodetection 2008で発表された。 2)かねてから評価中の2ミリ角ピクセル8×8アレイの全画素の画像読み出しのためのエレクトロニクスを開発した。専用の前置増幅器を新たにASICとして開発し、既存のマルチアノードタイプの光電子増倍管用回路システムと組み合わせて、フレームレートとして50fpsを実証した。このレートはPCとの転送速度によって制限されていると考えられ、理論限界として200kfpsまでの画面更新速度が得られることが示されその将来性が確認された。この装置をつかって、新しい高速シンチレータ(材質LuAG)の単結晶ファイバー束によるX線のイメージングについてもその概念実証を行った。このシステムでは、輻射長の短いシンチレータを厚くならべることができ、従来イメージングの困難であった硬X線を使ったさまざまな応用可能性が広がる。この結果は、2009年3月につくばで開催された第一回のIUPAP国際会議TIPP09において発表された。
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