研究課題
超小型衛星を用いた実験を効率よく遂行するための、標準的プラットホームおよびプラットホーム上で実行することのできる実験装置の研究を進めた。衛星搭載用の検出器を作った経験がない者に対して、宇宙実験に対する敷居をさげるために、スペースワイヤと呼ばれる次世代衛星用のシリアルリンクの規格を積極的に採用した標準バスの実証を行い、情報コンセントとパワーコンセントの二つを備えたプラットホームの設計を行った。実際に、スペースワイヤを用いたデータ処理装置の開発を開始し、CPU部と、センサーアクチュエータ部の開発を行った。スペースワイヤーのプロトコルを処理するFPGAと、簡単なアクセス方法を特徴とするバスをサポートするユーザー用のFPGAにわけた設計を行い、ユーザーが必要とする処理を容易に行うことができるような仕組みを整えた。数cm角という限られた箱の中で意味のある実験を行うためには、高度に集積化されたアナログLSIや、多チャンネルセンサー、小型センサーが必要である。本年度は、これまで開発してきた放射線センサーのための32チャンネルの低雑音アナログLSIに、並列ADCを組み込んだLSIの設計検討を行い、実現にめどをつけた。ピクセル化したアバランシェフォトダイオードや両面ストリップシリコン検出器を用いた超小型粒子検出器や超小型ガンマ線検出器の開発を行うと同時に、超小型の磁気浮上型微小変位測定装置の詳細設計を行った。この装置は将来の重力波検出ミッションの先駆けとなるものである。