研究課題/領域番号 |
17204022
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩佐 義宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20184864)
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研究分担者 |
田口 康二郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70301132)
竹延 大志 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70343035)
下谷 秀和 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60418613)
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キーワード | 有機トランジスタ / 界面制御 / 両極性トランジスタ / 発光トランジスタ / 有機単結晶 / 電気2重層 / subthreshold swing / 電界効果ドーピング |
研究概要 |
本研究の目的は、有機分子材料、ナノカーボン材料などを複合化した、物質とデバイスの作製を行い、新しい電子・光機能を創成することである。本年度は、有機電界効果トランジスタにおいて主に、以下の2つの成果をあげた。 (1)両極性発光トランジスタの実現 有機半導体を用いたトランジスタは、無機半導体とは異なり、基本的に意図的なドーピングを行わずに真性半導体として使用される。このような場合、原理的には、ゲート電圧の符号によって電子も正孔も蓄積することができる。このようなトランジスタは、両極性トランジスタと呼ばれているが、昨年度、ゲート絶縁膜として有機絶縁膜を用いることによって、ルブレン単結晶で両極性トランジスタを実現した。本年度は、それを応用して、トランジスタ中で電子と正孔が再結合して発光する、発光トランジスタを実現した。そのために用いたテトラセン単結晶を両極性化するために、結晶成長段階からデバイス作製・評価まで一貫して空気にさらさないプロセスを開発した。これは、有機低分子系初の両極性発光トランジスタである。 (2)電気2重層トランジスタの実現 有機トランジスタは、応用志向の研究が非常に注目されているが、一方で静電的な電界効果ドーピングによって、物質界面に新しい電子相を誘起する手段としての基礎研究も重要な課題である。有機トランジスタの基本が、半導体-絶縁体-金属というコンデンサ構造にあることに注目し、同様な構造を持ち、且つ絶縁体層がナノメータ程度の厚みを持つ、電気2重層トランジスタを、有機単結晶ルブレンに対して作製した。その結果、従来の有機トランジスタでは最高のsubthreshold swing値を実現するとともに、最高レベルの面伝導度を達成することに成功した。この手法は、有機半導体だけでなく、様々な半導体に適用可能と予想される。
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