研究課題/領域番号 |
17204024
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 耕一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90212034)
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研究分担者 |
永井 正也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30343239)
白井 正伸 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30303803)
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キーワード | 走査プローブ顕微鏡 / テラヘルツ / 光物性 / 光誘起相転移 |
研究概要 |
初年度は、走査型テラヘルツ近接場顕微分光法の確立とテラヘルツ全反射装置による光誘起相転移物質の評価をおこなった。以下、この2つの研究項目について具体的な研究成果を述べる。 まず、現有のテラヘルツ全反射分光装置を改良し、近接場光学への拡張に適した小型で安定な測定装置を構築した。時間遅延ステージ、データ取得方法を大幅に改善し、空間マッピングで重要な測定時間の短縮や微小信号におけるSN比の改善をめざした。このために、オプティカルディレイスキャナーなどの備品を購入し、装置に組み込んだ。従来の装置に対して面積比で4分の1の大きさまで小さくすることができた(永井、田中)。次に、現有のリニアスキャナ搭載原子間力顕微鏡システムのシグナルアクセスコンソールオプションやモーターズームオプション、ステージフレームを購入し、走査型テラヘルツ近接場顕微分光法の準備実験としてAFM動作の確認と拡張への指針を得た。また、標準試料の作成に取り組んだ。Si基盤上に金属膜からなる複合膜をリソグラフィーにより作製し、上記のAFMによりその構造を確認した(田中)。 光誘起相転移の実験にもちいるスピンクロスオーバー錯体のダイナミクスの実験も開始した。特に、複核スピンクロスオーバー錯体における光励起においては、照射光の波長を変えることにより自由自在に3つのスピン状態間の遷移を起こさせることに成功した。また、光照射による時間発展を詳細に測定し、相転移においてミクロ構造が現れることを示唆する結果を得た。すべての温度域で高スピン-高スピン常磁性相が安定な時複核スピンクロスオーバー錯体に対しては、熱的には得られない低スピン-高スピン中間層を数時間以上の寿命で得ることに成功した。(白井、田中)。更に、走査型テラヘルツ近接場実験の準備として、スピンクロスオーバー錯体やEDO-TTF結晶の温度誘起相転移にともなうTHzスペクトルの変化を観測した。
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