研究課題/領域番号 |
17204031
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 祐司 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50199816)
|
研究分担者 |
芝内 孝禎 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00251356)
寺嶋 孝仁 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (40252506)
|
キーワード | 超伝導 / 対称性 / 重い電子系化合物 / 隠れた秩序 / 渦糸格子 / 準粒子 / 量子臨界点 / 強相関電子系 |
研究概要 |
本年度はまず熱伝導にまる超伝導対称性の実験を行った。特に重い電子系化合物URu2Si2の超伝導対称性を希釈冷凍機温度までの低温で磁場中熱伝導度の測定により決定した。この系はいわゆる隠れた秩序相で超伝導が起こるが超伝導相はあまり研究されていなかった。我々はこの超伝導相が極めて特異なものでありカイラルd波の対称性を持つことを示した。さらに微小ホールプローブを用いた局所磁場測定や電気抵抗の精密測定により、この物質においては渦糸格子が融解することを示した。1K以下で渦糸格子が融解する現象はこれが初めてである。さらに渦糸格子状態で準粒子がブロッホ状態を形成することも発見した。また重い電子系超伝導体の人工超格子の作製を分子ビームエピタキシーにより行い、これまでにCeIn3とLaIn3を薄膜にエピタキシャル成長させることに成功している。またCeCoIn5の超伝導薄膜の作製にも成功しておりCe系のエピタキシャル薄膜は世界で初めての例である。さらに高温超伝導体Tl:2201に対し超強磁場中での輸送現象の測定を行った。その結果上部臨界磁場を境に非フェルミ流体的挙動からフェルミ流体的挙動に移り変わる磁場に誘起された量子臨界点が存在することを発見した。重い電子系超伝導体においても類似した振る舞いが観測されており強相関電子系における普遍的な現象である可能性がある。
|