研究課題/領域番号 |
17204032
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
青木 勝敏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主席 (30356331)
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研究分担者 |
竹村 謙一 物質・材料研究機構, ナノ物質ラボ, 主席研究員 (20171671)
清水 克哉 大阪大学, 極限量子科学研究センタ, 教授 (70283736)
清水 宏晏 岐阜大学, 工学部, 教授 (80023258)
常行 真司 東京大学, 大学院理学系研究科, 准教授 (90197749)
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キーワード | 希土類金属 / 水素化物 / 構造転移 / 電子転移 / 高圧 |
研究概要 |
放射光X線回折測定により、3水素化物(YH_3)の六方晶から立方晶への構造変化の過程を明らかにした。10〜20GPaの広い圧力領域で観測された構造変化は、これまで低圧相(六方晶)と高圧相(立方晶)との二相共存状態を経由すると理解されていたが、放射光を用いて精密にX線回折測定を行い、モデル構造を用いて計算した回折パターンとの比較、さらには結晶構造パラメーターの最適化による実測パターンの再現によって長周期積層構造の逐次転移であることを明らかにした。この長周期積層構造はABA型配列のH層とABC型のK層の異なる積層パターンの配列が周期配列しており、4層のH層と5層のK層の交互配列で表すことができる。 六方晶-立方晶転移が金属面の積層構造の段階的な変化を伴うことはラマンスペクトルからも読みとる。Y金属格子の格子振動数は低波数側にシフトし、長周期積層構造の出現を支持している。人面体サイトの水素原子の振動ピークの消失は水素原子の金属面近傍(六方晶構造)から対称中心(立方晶構造)によるラマン不活性化の過程として理解される。 一方、立方晶YH_3で観測された圧力誘起バンドギャップクロジャーがGW近似によるバンド計算によって再現された。赤外領域での突然の不透明化、すなわちギャップの不連続な消失は、電子遷移が禁制なバンド間のオーバラップにより、自由電子が生成したためであると解釈される。 2水素化物(LaH_2、YH_2)では大きさが異なる立方格子問の可逆的な構造変化を観測した。この結果は金属格子の四面体位置から八面体位置への水素原子の格子間移動を伴う分解反応を示唆している。 これら高圧下での長周期構造の出現、分解現象は金属水素化物に特異な現象であり、その機構解明は水素-金属間の結合状態に関する知見を与えるものと期待される。
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