研究概要 |
1.温度同調高出力アクティブミラーレーザーを念頭に,YAG,希土類酸化物セラミックスの分光特性の温度依存性,熱特性,機械特性などの精密測定を行った。YAGと同様Y_2O_3も単結晶に比べて多結晶セラミックスは2倍以上の熱衝撃パラメータを持つことが分かった。 2.誘導放出断面積・準位内熱分布の温度依存性,利得媒質内の温度分布,濃度消光を取り入れたYb:YAGマイクロチップレーザーの温度同調特性のモデル計算を行い,70〜180Kにおける実験結果とよく一致した。利得長を最適化すれば,10at.%以上の高濃度添加が理想的動作条件になると分かった。 3.Ybのような準3準位系レーザー材料には不可欠の無添加のエンドキャップを接合したコンポジット型セラミックの開発を推進した。セラミック接合は従来の拡散接合に比べて,接合面が通常のバルク面と完全に同一の機械強度を持つことも実験的に確認し,完壁な接合状態を形成していることが分かった。また光学均質性、波面歪みも少なく、実際のレーザー特性も向上できた。Nd:YAG/Cr:YAGコンポジットセラミックスにより83μJ,24nsの自己Qスイッチレーザーを得た。 4.同時に共添加系の自己Qスイッチレーザーの系統的研究を行い,Cr:Yb共添加YAGよりパルス幅440ps,尖塔出力53kWを得た。Cr:Nd共添加の場合に比べてマルチ縦モード発振が起こりやすい。後者についてはホールバーニングと非線形吸収を取り入れた多モードレート方程式によりモード競合特性を説明できた。100W級アクティブミラーセラミック増幅器のシード光として用いる。 5.SESAM自己モード同期フェムト秒Yb:Y_2O_3レーザーの最適化を行い,チャープ鏡とプリズム対を用いた分散補償により,パルス幅190fs,平均出力200mWを得た。更に同じ希土類酸化物系であるYb:Sc_2O_3,Yb:Lu_2O_3でもモード同期に成功し,後者で360fs,350mWを得,更に短パルス化を目指している。
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