研究分担者 |
磯部 博志 熊本大学, 理学部, 助教授 (80311869)
横瀬 久芳 熊本大学, 理学部, 助教授 (50230644)
池田 剛 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (40243852)
能田 成 熊本大学, 理学部, 教授 (30065841)
可児 智美 熊本大学, 理学部, 助手 (60332863)
|
研究概要 |
中部九州肥後帯ならびに黒瀬川構造帯が中国の大陸衝突帯(Qinling-Dabie-Sulu 超高圧変成帯)の断片であるという仮説に基づいて,これらの変成岩類ならびに関連する九州の点在変成岩類の岩石学的研究を進めている.今年度は以下の成果があった. (1)天草高深変成岩類に伴う高圧型グラニュライトの発見(Ikeda et al.;2005) 天草高浜には長崎変成岩類の一部である低温高圧型変成岩類(結晶片岩類)が露出しているが,この結晶片岩類と白亜系姫の浦層群は多くの場所で断層関係であるが,この断層に沿ってザクロ石角閃岩類が分布することが知られている、このザクロ石角閃岩類の鉱物組み合わせの詳細な検討から,われわれはザクロ石+単斜輝石+斜長石+石英が変成作用のピーク時に安定であったことを確認し,その変成条件が770±70℃,1.1±0.2GPa程度であったことを明らかにした。この変成条件は明らかに長崎変成岩類のそれとに異なり,この高圧型グラニュライトがいかなるテクトニクスによって天草に分布しているのか大きな問題である.この問題についてはさらに検討を進めている. (2)長崎変成岩類に産する.ヒスイ輝石岩喫の変成条件の強耐(Shigeno et al.:2005).「長崎変成岩類は帰属が明らかになっていない九州の点在変成岩類の中で最も重要なものである.この変成岩類の帰属を考察することは,大陸縁辺部における九州のテクトニクスを構築する上できわめて重要である.長崎変成岩類から低温高圧型の典型であるヒスイ輝石を産することはすでに西山(1978)によって報告されていたが,今回Shigeno et a1.(2005)は新たなヒスイ輝石岩の産出を見出し,このヒスイ輝石岩中にヒスイ輝石+石英の組み合わせを確認した.これにより長崎変成岩類の中には少なくとも1.3GPaの高圧下で形成されたものが含まれることが明らかになった. 以上のように九州の帰属不明の点在変成岩類には従来考えられていたよりも高圧の変成条件を示すものがあることが分ってきた.われわれは肥後帯の中からも高圧型グラニュライトを発見しており発表準備中である.また黒瀬川構造帯中のグラニュライト,藍閃石片岩も研究を進めており,来年度には新たな成果が期待される.
|