研究課題/領域番号 |
17204047
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平島 崇男 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (90181156)
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研究分担者 |
北村 雅夫 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (70004489)
下林 典正 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70235688)
中村 大輔 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (50378577)
大沢 信二 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30243009)
三宅 亮 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10324609)
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キーワード | ラマン分光分析 / 流体包有物 / 岩石・流体相互作用 / 高圧変成岩 / 橄欖岩 / ローソン石 / 深部低周波微動 / 高ポアソン比 |
研究概要 |
<顕微ラマン分光分析器を用いた流体包有物の研究> 平成18年度前半は、本年1月に本科学研究費補助金を用いて導入・設置したArガスレーザーを装備した顕微ラマン分光分析器の習熟運転を継続するとともに、流体や造岩鉱物のラマン標準スペクトルデータの収集を開始した。この作業と平行して、日本の三波川変成帯やチェコ・ボヘミア山塊の超高温変成岩中の流体包有物の同定を開始した。その結果、三波川変成岩中の石英脈から初生的流体包有物としてCH4ガスを発見した。また、チェコ・ボヘミア山塊の超高温変成岩からも流体包有物としてCH4を見出した。しかし、この流体包有物は、岩石学的な解析から、母岩の冷却時に取り込まれた二次的なものであると結論された。三波川変成岩中のCH4流体包有物の地球化学的意義は、Nishimura et al.(2006)として、京都大学の地球惑星科学専攻で実施する21世紀COE研究集会(12月京都大学)で口頭発表するとともに、H19年1月に地球惑星科学連合大会に講演要旨を投稿した。 <水を多量に保持する含水鉱物の物性特定> 沈みこみ帯での流体の放出にはローソン石、緑泥石、蛇紋石など多量のOH基を結晶水として保持する鉱物の挙動が深く関与している。今年度は、これらの含水鉱物の挙動を、イタリア・西アルプス変成帯で岩石学的に研究した。pseudosection法と岩石中の含水鉱物のモード量実測値から、地下深部岩石の含水量変化を明らかにした。その結果、地下50km,温度500℃程度の変成条件では、ローソン石が分解するときに、多量の水を放出することを明らかにした。モデル計算から提示された現在の西南日本の地下に沈みこむフイリッピン海プレートの温度圧力推定結果は、上記の変成条件と類似しており、現在、西南日本の地下ではローソン石の分解とそれに伴う大量の水の放出が期待される。西南日本地下の深部低周波微動や非火山地域地下の高ポアソン比を生み出す要因として、ローソン石から放出された流体の可能性を指摘した(松本・平島、2006、日本地質学会年会要旨)。
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