研究課題
基盤研究(A)
最先端の測定法と解析法を用いたX線吸収分光法・X線回折法により決定した微量元素の精密局所構造の情報から、惑星地球レベルの諸活動・現象解明の更なる手掛かりや重要情報を得る試みである。精密構造解析技術による化学結合性、配位数、原子間距離、熱運動などの定量的な決定により、各微量元素の占有位置や化学状態、物性に関する定数を精密化した。1.「惑星物質内の希ガスが固体中の何処に入っているか。脱出挙動と化学結合性、非調和有効ポテンシャルは如何なるものかを明らかにする。」2.「白亜紀/第三紀境界層中の砒素やイリジウム、亜鉛などの特定濃集元素が固体中の何処に入っているか。局所構造や化学結合状態等を知り、なぜこれらの元素のみが極端に高い濃度で濃集しているのかを明らかにする。」3.「地球下部マントル物質盟gSiO3ペロブスカイトに、ある種の不純物や欠陥を伴う元素置換、固溶体を形成すると物性が大きく変わるのか。各微量元素周りの局所構造から物性の発現機構を明らかにする。」の重要課題に取り組んだ。各課題において成果が得られ、国際誌等で公表した。1の課題では脱ガス温度と占有席の関係や一部の元素が特異な化学結合性を有することを明らかにした。さらに新たな測定方法の開発に成功した。2の課題では、白亜紀/第三紀境界層中でAsはヒ酸として4配位席を占有し、4配位指向の強いZnが6配位席を占有していることが明らかになった。外部天体衝突時での高温下やその後の環境の急変による元素の特異な挙動が判明しつつある。3の課題では、地球下部マントル物質ペロブスカイト相の圧力・温度変化の詳細を精密化した。ABO3ペロブスカイト型構造をとる物質は、立方晶と低対称相でA席とO席の熱的挙動が大きく異なり、それが物性に反映し、微量元素の席選択制に影響を与え、A席O席それぞれの電子状態が他の原子の状態に大きく影響を与えることを明らかにした。
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