研究課題/領域番号 |
17204050
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小林 憲正 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学(系)研究科(研究院), 教授 (20183808)
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研究分担者 |
奈良岡 浩 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20198386)
三田 肇 福岡工業大学, 工学部, 教授 (00282301)
橋本 博文 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (50272175)
金子 竹男 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 特別研究教員 (50191987)
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キーワード | 炭素質コンドライト / 星間有機物 / アミノ酸 / 宇宙線 / 惑星間塵 / 化学進化 / 生命の起源 / アストロバイオロジー |
研究概要 |
1.「模擬星間有機物」の作成とその分析:一酸化炭素・アンモニア(または窒素)・水の混合物にヴァンデグラフ加速器(東工大)またはTIARAタンデム加速器(原研)からの陽子線を照射したもの(CAW(CNW)と略記)および、メタノール・アンモニア・水の凍結混合物に重粒子加速器HIMACからの重粒子線またはTIARAサイクロトロン(原研)を照射したもの(MeAWと略記)を「模擬星間有機物」とした。これらはいずれも加水分解によりアミノ酸を与える「アミノ酸前駆体」である。 2.隕石および南極土壌中アミノ酸の抽出・分析:マーチソン隕石(CM2)および南極昭和基地周辺土壌から熱水でアミノ酸を抽出した残渣をフッ酸分解し,アミノ酸を分析したところアミノ酸が検出された。つまり隕石や土壌中に熱水抽出で出てこないアミノ酸が多く含まれることがわかった。また、超低密度シリカゲルにより、宇宙ステーション曝露部で惑星間塵を採取するための実験条件の検討を行った。 3.放射線や水熱反応による模擬星間有機物の変成:分子雲で生成した複雑有機物の星間や隕石母天体中での変成過程を調べるため、模擬星間有機物(CAW, CNW, MeAW)に(1)HIMACからの炭素線照射、(2)TIARAサイクロトロンからの陽子線(3)オートクレーブ中での水熱反応、(4)フローリアクターを用いた200-400℃での水熱反応を行った。いずれの実験においても,複雑なアミノ酸前駆体は遊離アミノ酸よりも高い安定性を示した。また、TEMでの観察により、CNW乾燥物中に微小な構造体が見られたが、水熱変成によりその構造変化が観察された。 4.以上の結果から、分子雲で生成した高分子量複雑有機物が星間および隕石母天体中での変成を受け、隕石有機物や彗星有機物に進化した、というシナリオが示唆された。模擬実験生成物と隕石有機物とは、芳香族化合物の割合などが異なるが、これは分子雲中の炭素粒子の寄与や、放射線や水熱反応での芳香族化などによるものと推定された。
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