研究概要 |
光電子角度分布の理論を、超高速時間分解画像観測法と多チャンネル量子欠損理論に適合した形で展開した。回転の波動関数は明示的に取り込んだ。光電子角度分布の公式を、電場の統計テンソルと分子軸分布の整列度パラメーターで展開することに成功し、展開係数として、bパラメーターが得られた。bパラメーターには、光イオン化ダイナミクスの全ての情報が含まれる。分子固定系の光電子角度分布との比較から、線形従属な複数のbパラメーターが、線形分子,C_s点群対称性分子に関して特定された。bパラメーターに関しての特異値分解から、その他には線形従属なものがないことも確認できた。線形独立なbパラメーターに基づいて光イオン化の動力学パラメーターの完全決定に向けた、効果的な実験手順を提案した。この提案に基づいて、異方瀬因子を精度良く決定するための、光電子角度分布画像観測装置を開発した。マイクロチャンネルプレートのボアサイズや、C-MOSカメラ信号のFPGA回路による画像解析によって、従来にない0.03程度の誤差で異方性因子が決定できるようになった。 深紫外領域(200〜300nm)で10fs程度のパルスを発生する装置を開発した。チタンサファイアレーザーを光源とし、その二倍波と基本波を希ガス中にゆるやかに集光することによって、四光波混合による波長変換を行った。入射光パルスが高ピークパワーであるため、フィラメンテーション効果を起こり、パルスが集光されたまま希ガス中を長い距離にわたって伝播するため、効率のよい波長変換ができた。500uJの2倍波に対して、260nmで20uJ、200nmでは4uJの出力が得られた。発生した深紫外光パルスは、回折格子を用いた圧縮装置によって圧縮し、260nmで12fs、200nmで16.5fsのパルスが得られた。200nmの波長領域では、これまでは200fsのパルスしか発生できていなかったが、それを1桁以上短くすることができた。
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