研究課題/領域番号 |
17205008
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
酒井 健 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (30235105)
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研究分担者 |
正岡 重行 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (20404048)
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キーワード | 水素エネルギー / 白金錯体 / 光水素発生 / 触媒 / ルテニウム錯体 / 光増感剤 / 金属多核錯体 / 分子デバイス |
研究概要 |
水素エネルギーは次世代クリーンエネルギーとして脚光を浴びている。特に、太陽光エネルギを水素エネルギーに変換するプロセスの開発を見据え、水の可視光分解反応の研究が広く行われている。本研究では、金属錯体を用いた水の可視光分解反応に注目し、光増感能を有するRu(II)着体と水素発生触媒能を有するPt(II)錯体を共有結合的に連結した単一分子光水素発生デバイスに関する研究を推進してきた。本年度は、昨年度までに開発に成功してきた光水素発生デバイスに関して、(a)Ru-Pt間を連結する架橋配位子の電子構造制御、(b)Ru-Pt型分子デバイスの二量化薄造を持つ(Ru-Pt)2型四核デバイスの構築を行った。 研究(a)では、我々が以前に合成した単一分子光水素発生デバイスの架橋配位子を変化させた数重の新規Ru-Pt型デバイスを合成し、その触媒活性変化について考察を行った。その結果、Ru-Pt間をアミド結合などのπ共役系スペーサーで連結したデバイスでは触媒活性を示す一方、Ru-Pt間のπ共役系がメチレン鎖で分断されたデバイスでは全く触媒活性を示さないことが明らかとなった。分光測定、電気化学測定、DFT計算等により、π共役系スペーサーの電子構造が光水素発効率に与える影響について検討を行った。 他方、研究(b)では、Ru-Pt型分子デバイスの二量化構造を持つ(Ru-Pt)2型四核デバイスを構築し、その光水素発生触媒機能評価を行った。その結果、二量化に伴い水素発生速度が大幅に増加することが明らかとなった。一方、触媒濃度依存性を調べると、Ru-Pt型、(Ru-Pt)2型の両デバイスにおいて、水素発生初速度は触媒濃度の上昇に伴って直線的に増加することがわかった。このことから、(Ru-Pt)2型四核デバイスを触媒とした水素発生反応では、分子内反応だけでなく、分子間反応も関与したメカニズムで水素発生反応が進行していると考察された。
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