研究課題/領域番号 |
17205009
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺前 紀夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70114569)
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研究分担者 |
西澤 精一 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40281969)
山口 央 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10359531)
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キーワード | 分子認識 / ナノ反応場 / DNA脱塩基空間反応場 / メソ細孔反応場 / 蛍光試薬 / 固相抽出 / 陽極酸化アルミナ膜 |
研究概要 |
化学センサーの構築で界面など新たな分析反応場を用いることは、従来の溶液化学の体系下では達成できなかった新規な選択性や特異性の発現へと発展しうる。この点に着目して本年度は昨年度に引き続き、脱塩基部位を有するオリゴDNAを用い、脱塩基空間における分子認識について検討を進めた。また、アルミナ細孔膜にメソ細孔を有するシリカ界面活性剤ナノチャンネ集合体ルを埋め込んだ薄膜(NAM)について、細孔構造の制御法やメソ細孔を反応場とした分離機能などを検討した。 DNA二重鎖内の脱塩基空間における分子認識では、ナフチリジン誘導体はピリミジン塩基に対する選択性を示し、ピリミジン塩基に対する親和性は上下塩基の配列に依らずほぼ一定であることを明らかとした。また、ナフチリジン誘導体に疎水的なメチル基を付加させることで、塩基認識に伴うエントロピー損失が軽減され、効率的な塩基認識反応を構築できることを確認した。さらに、フラビン誘導体とプテリン誘導体のリガンドを併用し、K-ras遺伝子に含まれるG/A変異についてPCR産物への適用を達成した。 NAM中のメソ空間を用いた酵素反応を検討するため、グルコース酸化酵素をNAM内に固定化させ、そのグルコース触媒反応について検討した。その結果、グルコース溶液をグルコース酸化酵素を固定化したNAMに通液させることで、ほぼ100%のグルコース酸化と過酸化水素の生成を確認した。さらに、乳酸酸化酵素についでも同様に検証を行い、乳酸の効率的酵素触媒反応が確認された。このように、NAMを用いることで高効率な生体酵素反応系の構築に達成し、バイオセンサーなどへの展開が図れた。
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