研究概要 |
1.コヒーレントラマン散乱による超短パルス光の時間幅圧縮 過渡的に誘起した分子のコヒーレントラマン回転による,超短パルス光のスペクトル変調において,オルト水素とパラ水素のラマン回転を同時に誘起する新しい手法を開発した。得られた広帯域光の分散を補正することによって,本手法では最短となる11fsの時間幅を有する近紫外超短パルス光の発生に成功した。 2.ラマン媒質中での非線形スペクトル拡張による深紫外超短パルス光の発生 深紫外超短パルス光のラマン媒質中における非線形スペクトル拡張と,そのスペクトル位相の制御によって,サブ50fs単一超短パルスの発生に成功した。この深紫外超短パルスを本研究室で開発した質量分析計を検出器とした自己相関計によって初めて評価し,本手法の有用性を実証した。 3.誘導ラマン散乱によって波長変換された紫外フェムト秒レーザーによる多塩素化有機化合物の高感度検出 水素ガスを媒質とした誘導ラマン散乱によって波長変換された紫外フェムト秒パルスを励起光源としたダイオキシン類の新たな分析手法(ガスクロマトグラフィー/レーザー多光子イオン化/飛行時間型質量分析法)による高感度、高選択的な実試料測定装置を開発した。選択性に関して,波長300nmにおいて,夾雑物由来のピーク,特にフェニル基を1つもつ化合物のイオン化が抑制されることを確認し,ジベンゾフラン類の信号ピークのSN比が向上することを確認した。 4.中空キャピラリー導波路を用いた位相整合四光波ラマン混合 非線形媒質の有する正の群速度分散と,中空導波路の有する負のモード分散を利用した,中空キャピラリー導波路中での位相整合四光波ラマン混合の可能性を検討した。波長、内径、媒質密度に関して,位相整合を実現する最適な条件を明らかにした。
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