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2006 年度 実績報告書

新有機カチオン化学の創成と体系化

研究課題

研究課題/領域番号 17205012
研究機関京都大学

研究代表者

吉田 潤一  京都大学, 工学研究科, 教授 (30127170)

研究分担者 野上 敏材  京都大学, 工学研究科, 助手 (60402963)
キーワード有機カチオン / カチオンプール法 / 反応性 / 安定性 / フロー系反応装置
研究概要

有機カチオン活性種の熱力学的および動力学的特性の解析
有機カチオン活性種として有機イオウカチオン種に焦点をあて、研究を行った。ジアリールジスルフィド(ArSSAr)をCH_2Cl_2中、Bu_4NBF_4を支持電解質として低温電解酸化するとアリール(ビスアリール)チオスルポニウムイオン(ArS(ArSSAr)^+)が生成することを低温NMRおよびCSI質量分析により確認し、その熱力学的な安定性について解析を行った。さらに、このArS(ArSSAr)^+をチオアセタール(RCH(OR)SAr)に作用させると、ArS基の速やかな脱離によりアルコキシカルベニウムイオン(RCH(OR)^+)が発生し、それを溶液として蓄えられることを明らかにした(インダレクト・カチオンプール法)。このようにして蓄えたアルコキシカルベニウムイオンは、以前の研究で直接電解法により発生・蓄積したアルコキシカルベニウムイオンと同様の熱力学的安定性および求核剤との反応活性を示すことを明らかにした。
その他、N-アシルイミニウムイオンとベンジルシランとの電子移動反応についても検討を行った。
有機カチオン活性種の合成化学的応用
分子内にオレフィン部位を有するチアセタールに対してArS(ArSSAr)^+を作用させると、生成したカチオンがオレフィン部分と反応して環化したヘテロ環化合物が生成することを見出した。支持電解質としてBu_4NBF_4を用いた場合はフッ素が導入された化合物が得られたが、支持電解質としてBu_4NB(C_6F_5)_4を用いたところ、ArS基が導入された化合物が立体選択的に得られた。さらにこの反応は触媒量のArS(ArSSAr)^+を用いて進行することも明らかにした。
その他、ArS(ArSSAr)^+とオレフィンやアセチレンとの反応による含イオウ化合物の合成や、N-アシルイミニウムイオンプールと分子内水酸基をもつオレフィンとの反応による含酸素環状化合物の合成などを検討し、それぞれ対応する生成物が良好な収率で生成することを見出した。
また、フロー系を用いた反応のインテグレーションにも着手し、カチオンの生成および求核剤との反応がフロー系を用いて連続的に行えることを確認した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] Reactions of N-Acyliminium Ion Pool with Benzylsilanes. Implication of a Radical/Cation/Radical Cation Chain Mechanism Involving Oxidative C-Si Bond Cleavage.2007

    • 著者名/発表者名
      Maruyama, T., Mizuno, Y., Shimizu, I., Suga, S., Yoshida, J.
    • 雑誌名

      J. Am. Chem. Soc. 129

      ページ: 1902-0903

  • [雑誌論文] Indirect Cation Pool Method.Rapid Generation of Alkoxycarbenium Ion Pools from Thioacetals2006

    • 著者名/発表者名
      Suga, S., Matsumoto, K., Ueoka, K., Yoshida, J.
    • 雑誌名

      J. Am. Chem. Soc. 128

      ページ: 7710-7711

  • [雑誌論文] Distannane Mediated Reaction of N-Acyliminium Ion Pools with Alkyl Halides. A Chain Mechanism Involving Radical Addition followed by Electron Transfer2006

    • 著者名/発表者名
      T.Maruyama, S.Suga, J.Yoshida
    • 雑誌名

      Tetrahedron 62

      ページ: 6519-6525

  • [雑誌論文] Electroauxiliary-Assisted Sequential Introduction of Organic Groups on the α-Carbons of Nitrogen2006

    • 著者名/発表者名
      Suga, S., Watanabe, M., Song, C.-H., Yoshida, J.
    • 雑誌名

      Electrochemistry 74

      ページ: 672-689

  • [雑誌論文] Oxidative Generation of Diarylcarbenium Ion Pools2006

    • 著者名/発表者名
      Okajima, M., Soga, K., Nokami, T., Suga, S., Yoshida, J.
    • 雑誌名

      Org. Lett. 8

      ページ: 5005-5007

  • [雑誌論文] Radical Polymerization Initiated by Electron Transfer Driven C-Si Bond Dissociation2006

    • 著者名/発表者名
      Iida, K., Yoshida, J
    • 雑誌名

      Macromolecules 39

      ページ: 6420-6424

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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