研究課題/領域番号 |
17205014
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中嶋 直敏 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80136530)
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研究分担者 |
金子 賢治 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30336002)
新留 琢郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20264210)
村上 裕人 長崎大学, 工学部, 准教授 (30274624)
出口 米和 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 講師 (20300535)
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キーワード | カーボンナノチューブ / ナノ材料 / 超分子化学 / 複合材料・物性 / ナノバイオ / 近赤外吸収スペクトル |
研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)は強くバンドルしており、溶媒に不溶である。CNTのバンドルをほどき溶媒に溶かすことができれば「カーボンナノチューブの化学」が展開できる。本研究では、「CNTとの親和性が高い多核芳香族基をもつ分子の物理吸着による可溶化ならびに機能化」という基本コンセプトで本研究を展開している。本年度の成果は以下の通りである。 切断CNT水溶液とアンモニウム型脂質二分子膜水溶液を混合し、生じた沈殿(コンプレックスI)を得た。コンプレックスIは有機溶媒に可溶であり、それらの溶液を高湿度下(60RH以上)でガラス上に展開としてキャストフィルムを作製した。走査型電子顕微鏡観察の結果、キャストフィルムはハニカム構造を形成することを見いだした。ハニカム構造のボアサイズは、溶媒の種類や湿度でコントロール出来た。これらのナノチューブハニカムフィルムは絶縁性であったが、イオン交換により、高い導電性をもつナノチューブハニカムフィルムへ変化させることに成功した。 多核芳香族基をもつポリフェノールがCNT可溶化能を有すると考え実験を行なった。ポリフェノールを含有する緑茶および緑茶のポリフェノールの主成分であるエピガロカテキンを用いてCNT可溶化実験を行った。近赤外吸収および蛍光分光、ならびに原子間力顕微鏡などを用いて可溶化状態を検討したところ、いずれもCNTを孤立溶解する能力があることを見いだした。飲料茶は、最も安価で安全なCNT可溶化剤として位置づけられる。 多核芳香族基をもつポリマーであるポリベンズイミダゾール(PBI)を用いてCNT可溶化能を検討したところ、このポリマーが優れたCNT可溶化能があることがわかった。この可溶化溶液からCNT/PBI複合フィルムを作成し、その機械的な特性を評価したところ、微量のCNT添加により、ヤング率の向上が認められた。
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