研究課題/領域番号 |
17205020
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
大野 弘幸 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (00176968)
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研究分担者 |
中村 暢文 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (60313293)
松見 紀佳 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究部, 助手 (40323745)
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キーワード | イオン液体 / 高分子 / 電気化学 / イオン伝導性高分子 / リチウムイオン伝導体 / ソフトマテリアル / 両性イオン |
研究概要 |
イオン液体の高いイオン伝導性に注目し、新規イオニクス材料としての機能デザインを検討した。平成17年度では、従来の研究成果をもとにイオン液体の高分子化およびイオン伝導度、特定イオンの輸率向上について詳細に検討した。 イオン液体を構成するカチオンもしくはアニオンにビニル基などの重合基を導入し、バルクラジカル重合できることは既知である。しかし、単純なモノマーでは重合後のイオン伝導度が大きく低下するという問題があり、これを高分子主鎖と荷電部位の間にスペーサーを導入することでイオンの運動性を向上させ、重合後のイオン伝導度の低下を抑制することに成功した。さらにイオン液体構造を有する架橋剤を世界で初めて合成し、構成イオンの構造や組成、架橋剤を変化させながら、様々な形のポリマー(ポリカチオン型、ポリアニオン型、コポリマー型、多分岐型、三次元架橋型など)を得た。2位に置換基のないイミダゾリウム塩から得られたポリマーは、室温で10^<-4>S cm^<-1>オーダーのイオン伝導度を示した。また、リチウム塩を添加した系についての一連の検討から、ピペリジニウム塩系が最も高いリチウムイオン輸率(0.41)を示すことを明らかにした。 また、適当なポリマーマトリックスにZwitterion型イオン液体とリチウム塩を添加したゲル型電解質を開発し、高いリチウムイオン輸率を伴う高分子電解質を得ることに世界で初めて成功した。このゲル型電解質は室温で10^<-4>S cm^<-1>オーダーのイオン伝導度と0.5を超えるリチウムイオン輸率を発現した。これまでのZwitterion型イオン液体は融点が高かったが、構成イオン種の構造を変化させることにより100℃以下に融点を持つものも得られるようになった。
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