研究課題/領域番号 |
17205020
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
大野 弘幸 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 教授 (00176968)
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研究分担者 |
中村 暢文 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助教授 (60313293)
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キーワード | 高分子 / イオン液体 / イオニクス / 電気化学 / 固体電解質 / 生体高分子 / タンパク質 / エネルギー |
研究概要 |
イオン液体を新規高分子イオニクス材料の基幹物質として機能展開させることを目的として研究を進めた。とくに平成18年度は、さまざまな機能性官能基をイオン液体に導入したのち高分子化させることで、高分子化イオン液体中でプロトンやリチウムイオンを選択的に輸送させるための最適な分子設計を提案した。また、それ自身が電位勾配下で泳動しない、双性イオンについても詳細に検討し、イオン伝導度や特定イオンの輸率を向上させるための構造因子についての知見を深めた。得られた各系は、イオン伝導度、輸率、熱安定性が従来の固体電解質を上回っていた。この結果は、二次電池・燃料電池等の性能と安全性を向上させるための基礎知見として非常に有用である。また、イオン液体の構造の検討と並行して各種ゴムをマトリックスとしたイオン液体コンポジット系についても研究し、物性とイオン伝導性を両立させるための方法論を進展させた。 18年度はさらに、生体高分子のマトリックスとしてのイオン液体の評価を進め、機能膜の設計や非水系での蛋白質の電気化学反応セルに関する基礎知見を集積した。生物燃料電池などの新しいエネルギーデバイスの開発も視野に入れて研究を展開した。とくに、化学修飾により蛋白質の親・疎水性を制御する方法を発展させ、水に不溶でイオン液体にのみ溶解する蛋白質を作成した。また、イオン液体中や高分子電解質中での電子伝導性たんぱく質の活性を、分光学的手法を用いて詳細に解析した。これらの成果は、タンパク質・酵素のイオン液体中での利用とその制御について新しい道を拓くものである。 以上のように、平成18年度に得られた成果は、今後の高分子イオニクス材料開発に不可欠な重要なものである。
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