研究課題/領域番号 |
17205020
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
大野 弘幸 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (00176968)
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研究分担者 |
中村 暢文 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (60313293)
水雲 智信 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (90436676)
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キーワード | イオン液体 / イオン伝導性高分子 / 電気化学デバイス / 選択イオン輸送 / タンパク質 / 生体高分子 |
研究概要 |
イオン液体を基幹物質として利用し、高分子イオニクスを一段と展開することを目的として研究を進めた。平成20年度は、ゴムや無機ガラス、ポリイミドなど、様々な力学特性を有する材料とイオン液体のコンポジットを積極的に作製し、機械的強度とイオン伝導性を両立させるための方法論を進展させた。様々な機能性官能基を持つイオン液体の高分子化も継続して研究した。例えば、色素をDNAのグルーブ内に単分子分散させ、イオン液体を高分子化したフィルムで被覆し、酸化還元反応に伴い可逆的に色変化を示す表示素子を作製した。還元状態の色素の二量体形成が抑止されるため、繰り返し安定性に優れた発消色を達成できた。また20年度は、イオン液体を生体高分子のマトリックスとして用いることについても研究を進め、イオン液体中での各種タンパク質の電気化学反応に関する基礎知見を集積した。水に不溶でイオン液体にのみ溶解する修飾蛋白質を作成した。また、少量の水を含んだイオン液体(水和イオン液体)中でタンパク質を機能させ、酵素反応を進めることに成功した。さらに、タンパク質/電極間で速やかな電子移動を行わせるための知見を収積し、非水系バイオ燃料電池の製作の基礎を確立できた。これらの成果は、タンパク質・酵素のイオン液体中での利用と制御について新しい道を拓くものである。以上のように、平成20年度に得られた成果は、新規高分子イオニクス材料の開発に不可欠なものである。
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