研究概要 |
ナノ構造への本手法の応用を図るには、試料の原子配列・電子物性に合わせて探針を規整する必要がある.そこで、超高真空中でのイオンスパッター・加熱によって清浄化したSi探針を加熱しながらGeを真空蒸着し、探針にGeクラスターを成長させた.このクラスターは、(001),(013),(113),(015),(111),(3 15 23)面などのファセットで囲まれ、ファセット面同士が接して作る頂点は鋭角になる.この部分を探針として利用する.この構造をSEM、SAMで解析し、AFM観察に利用し良好な観察結果を得た.また、AFMを利用して単結晶Siナノピラーを探針先端に引き上げ成長させ、この探針でSi(111)-7x7表面を試料としてBias nc-AFM/Sと電流-電圧特性を同時測定し、物体間の相互作用力と電流が特定の印加電圧で共鳴的に増大することを確認した.また、同様な実験手法でp型Si探針とn型Si基板を接触させたところ、その電流-電圧特性は伝導型を反映したpnダイオード特性を示した.接触圧を徐々に小さくし究極のナノサイズの接点となると、量子効果に基づくと考えられる電流-電圧特性に飛びが観察された.本手法を適用する機能ナノ構造および界面の試料として、Si表面にπ共役系ベンゼン誘導体分子を成長させる実験を行った.この系は有機EL素子への応用が期待されている基本材料の一つである.現在、試料調製チャンバーと測定チャンバーは別の装置なので、その間を真空搬送装置で作製した試料を搬送している.その結果、慎重なハンドリングによって表面構造を観察できることがわかったが、同時に移送装置内の残留ガスが試料表面に吸着することもわかった.そこで、移送の段取りによって解決できるかを調べつつ、測定チャンバーで分子蒸着ができるように一部の設計を変更した.現在、その装置の組立てがほぼ終了した.
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