研究課題
基盤研究(A)
新規カーボンナノ構造体であるカーボンナノウォールの高精度形状制御とその電子放出源への応用を目的に、カーボンナノウォールの初期成長過程の解析、形状・構造制御を行い、さらに電界電子放出特性を向上させるために、水素プラズマ処理、酸化マグネシウムコーティング、窒素ドープを施すなどの研究課題を実行し、知見を得た。分光エリプソメトリー法を用いた初期成長過程の解析において、成長初期にDiamoRd-like carbon(DLC)で構成された初期膜が形成され、その表面から導電性をもつカーボンナノウォールが成長することが判明した。圧力、投入電力、堆積時間などの作製条件により、カーボンナノウォールの壁間隔やグラフェンシートの結晶構造を変化させることができ、カーボンナノウォールの形状制御および構造制御に成功した。それらの電界電子放出特性を評価することにより、壁の高さと壁間隔の比率が1対1の揚合に最も特性が良いことが判明した。また電子ビーム励起プラズマ(EBEP)を用いてカーボンナノウォールを作製することにより、初期膜レスで厚さが数nmと非常に薄く、基板界面から表面まで垂直に立ったカーボンナノウォールの作製に成功した。電界電子放出特性の評価において、従来のカーボンナノウォールの作製したカーボンナノウォールのしきい値電圧は6.0V/μm、電流密度は2μA/cm^2であったが、それに水素プラズマ処理を施したり、酸化マグネシウムでコーティング処理を行うことにより、しきい値電圧は3.7V/μm、電流密度は10μA/cm^2にそれぞれ飛躍的に向上することに成功した。さらに窒素ドープされたカーボンナノウォールでは、14μA/cm^2という電流密度が得られ、実用可能な電流密度レベルに到達した。(746字)
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Diamond and Related Materials(掲載確定)
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