研究課題
本研究ではまず基本波と2倍波による2色電場の発生を行った。基本波(ω)は既存の10Hz、20TW級のチタンサファイアレーザーを用いた。このパルス幅は30fsであった。この基本波に対し広帯域波長変換により2倍波(2ω)を得た。そのパルス幅は最短17fsであった。基本波を2つに分け半分で2倍波を発生し、遅延時間を合わせて再度重ね合わせるが、通常のハーフミラーでこれを行うと一方が分散によりパルス幅が広がる。そのため穴あきミラーによりビームを2分し、再度重ね合わせた。ωと2ωの強度及び強度比を変えながら高調波の発生を行った。Neを媒質とした時、13〜20nmで基本波のみによる高調波強度に比べ数十倍から百倍以上の増加が観測された。Heを媒質とした時、7nm以上の波長域で10倍以上の増加が観測された。ω-2ω電場中の高調波発生に関わる電子の軌跡はωやω-3ω電場によるものとちがい多数存在する。その主なものにUpper branchとLower branchがあり、前者はより高い次数の発生に寄与するが、高調波強度は弱く、後者の最大次数は低いが高調波強度は強い。今回観測された強度の増大はLower branchの寄与によるものである。水の窓領域の高調波はωのみで観測されているが、2色電場による強度の増加は観測されていない。これはイオン化により2色電場が機能しないためである。次年度はωと2ωのパルス幅を半減し、イオン化の問題を解決し、またωと2ωの相対位相を最適化することにより、水の窓領域で高出力高調波の発生を行う。これらの結果はPhysical Review Aに投稿中である。
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