研究概要 |
平成19年度は前年度と比べ高繰り返し(1kHz)でより短いパルス(800nmで20fs,400nmで30fs)のレーザー光源を用い,2色電場の相対位相を精密に制御することにより,高次高調波の相対位相依存性の観測に成功した。一般に2色電場下では,高調波に寄与する電子の量子軌道は多数あるが,相対位相を制御し,Upper branchに対応する量子軌道を選択することにより,lower branchとupperbranchを分離して観測することに初めて成功した。,この結果は時間依存シュレディンガー方程式の数値解と非常によく一致した。また65nmの波長まで位相制御することができた。この結果はPhysicalReviewLettersに投稿予定である。 これまでの結果より,水の窓領域で強い高調波を発生するためには,より短パルスの光源が必要であることがわかった。このため光パラメトリックチャープパルス増幅(OPCPA)装置を開発した。パルス幅5.5fs,ピーク出力0.5TWは1kHzの繰り返しレーザーではいずれも世界記録である。(OpticsExpressに投稿予定)。この装置を励起源として2色電場の相対位相を制御することにより,水の窓領域で強い高調波を発生する予定である。これを用いて内殻励起にともなう超高速過程の時間分解光電子分光を開拓する。またアト秒パルス発生,高調波を光源とした超高分解能光電子分光など関連する分野で成果を上げた。
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