研究課題/領域番号 |
17206010
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
荒井 滋久 東京工業大学, 量子ナノエレクトロニクス研究センター, 教授 (30151137)
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研究分担者 |
丸山 武男 東京工業大学, 量子ナノエレクトロニクス研究センター, 助手 (60345379)
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キーワード | 半導体レーザ / 量子細線レーザ / DFBレーザ / 分布反射型レーザ / GaInAsP混晶 / 電子線リソグラフィ / 低損傷ドライエッチング / 半導体薄膜レーザ |
研究概要 |
本研究では、われわれが提案した歪補償量子ナノ構造の微細化・高品質化および高密度化を推進して、量子閉じ込め効果に起因する高性能量子ナノ構造を実現し、現状の歪量子井戸構造半導体レーザを凌駕する高性能半導体レーザを実現することを目的としている。本年度の実績は、以下の通りである。 (1)電子線リソグラフィー、メタンと水素の混合ガスによる低損傷ドライエッチングと2回の有機金属気相成長法によって、活性層分離型5層量子細線DFBレーザを作製し、量子細線幅30nm、ストライプ幅3.4μm、共振器長350μmの素子において、室温連続動作におけるしきい値電流2.1mA、副モード抑圧比50dBを得た。5層構造でありながら、しきい値電流密度を176A/cm^2まで低減することに成功した。 (2)量子細線DFBレーザのしきい値電流の温度依存性を抑制するためにブラッグ波長デチューニングを行った結果、細線幅37nm、DFB周期247.5nmの素子において、293K〜353Kにおけるしきい値電流および外部微分量子効率の特性温度はそれぞれ95K、243Kとなった。これらはデチューニング無しの素子の1.6倍、3倍である。 (3)さらに、デチューニング量を増加することにより、50℃で最もしきい値電流が低く、10℃から85℃の間でのしきい値電流の変動量が±19%、微分量子効率の変動量が24%と温度依存性の少ないDFBレーザの実現に成功した。 (4)DFBレーザの高効率動作を目指して、量子細線を受動DBR領域として用いる分布反射型レーザの作製を行った。この素子はストライプ幅2.1μm、活性領域長210μm、受動領域長600μmにおいて、しきい値電流0.8mAで室温連続動作を実現した。さらに、活性層を狭い細線幅に加工し、量子閉じ込め効果によって遷移波長を制御することによる光変調器の集積化に成功した。 (5)集積回路内の光インタコネクションを目指した超低消費電力レーザとして、半導体薄膜DFBレーザを試作し、光励起室温連続動作化で0.34mWの低しきい値動作を実現すると共に、半導体コア層を屈折率の温度係数が負となるBCBをクラッド層として用いることにより、発振波長の温度依存性を従来の半導体レーザの1/5に低減することに成功した。 (6)SOI基板上に直接貼り付け法により半導体薄膜DFBレーザを試作し、室温から85℃まで光励起連続動作に成功した。
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