研究課題
新たな機能を有する光学素子を製造するために、広範囲(100mm角)で微細(100nm幅)な形状を創成する金型転写技術を開発することが、本研究の目的である。すなわち、(a)キャビティ内の温度・熱流束・圧力・変位・流速などを、局所的に測定・制御できるセンサやアクチュエータを試作して、工程設計通りに広範囲を一様に形状転写すること、(b)金型材料としてセラミクスや純金属を表面に付与した材料を用いて、金型表面上に微細形状を加工すること、(c)多層の回折格子で分光・偏光するような新機能の光学素子を計算で設計し、それを実際の金型製作・転写によって実装すること、である。本年度の研究成果を下記に示す。(a)金型局所制御本年度は100nm幅の微細形状を付した金型表面直下の熱流束と温度を測定し、射出成形の射出直後の金型温度をプラスチックのガラス転移点温度以上に保っておけば、金型の100nm幅の微細形状を転写できることがわかった。(b)金型微細加工本年度は、炭化珪素を電子線描画と高速原子線エッチングで加工したガラスプレス用セラミクス金型と、ニッケルメッキ表面をフォーカス・イオンビームで堀る射出成形用金型とを用いたが、いずれも寸法は高精度に加工できた。しかし、セラミクス金型では100nm幅の溝が台形断面状に削れ、また金属金型のそれはエッチングされた粒子の再付着で角に100nmの丸みが生じた。(c)光学素子試作本年度は、回折格子のようなラインアンドスペースの形状を基本的形状として、溝に金属線を埋め込んだ偏光板や、そのピッチを変えて特別の色の光だけを通すカラーフィルタ、及びこれらの素子を厚み方向に重ねた複合素子を試作した。いずれもマックスウェル方程式による光のシミュレーションどおりの特性を有する素子ができた。計算よりも効率が劣るのは(b)で記した金型形状の角や隅の丸みによる。
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