研究概要 |
1.一酸化窒素(NO)のLIF計測:メタン-空気予混合気の層流火炎と乱流火炎の計測を行った.レーザー光をシート状にして,ICCDカメラで蛍光強度分布を計測した.モル分率の決定には標準添加法を用いた.添加モル分率と蛍光強度の増加分が比例関係にあることを確認している.100ppmのNOを予混合気と周囲空気流に添加して,100ppmのNOを添加しない場合と比較して,火炎中のモル分率分布を決定する.当量比0.8,1,1.2の場合について計測し,当量比1の場合には,層流火炎と乱流火炎の場合共に最大値約70ppmを得た.温度計測には2線蛍光法を用いた.断熱予混合火炎よりは約100K低くなったが,輻射による損失の影響と考えられる.メタン拡散火炎の実験も行った.予混合火炎の時に用いた干渉フィルターでは,すすのミー散乱光の影響を完全に除去できないため,替わりにイメージ分光器を導入して,すすからのノイズを除去した.その結果,拡散火炎についてもモル分率と温度の分布を得た.拡散火炎の最大モル分率は約120ppmであった.更に,ジェットエンジン排気ガス計測用の灯油(ヶロシン)燃焼装置を試作して,燃焼の基礎特性を把握した. 2.LIBSの計測:150μmのAl粉末や150〜300μmの土壌粒子にCu,Znの微量元素を混入して,標準添加法によって,質量分率を決定した.新規購入のNd : YAGレーザーを用いて,300〜400nmの領域で,計測波長・レーザーパワー・計測タイミング等の最適条件を決定して,検出限界ppmオーダーを達成した.微粒子を混入する方法と化合物溶液を混合する方法の2つの標準添加法を比較検討した.その結果,微粒子の場合は入手できる粒径が限定されるので,化合物溶液の方が汎用性の高い方法であると分かった.又,新規購入のエシェル分光計を用いて計測し,高い分解能で200〜300nmの範囲のスペクトルが一挙に取得できる事が確認できた.
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