研究概要 |
1.一酸化窒素のレーザー誘起蛍光(LIF)計測:前年度確立したジェット燃料火炎の標準添加計測技術を更に改良して,ジェット燃料ガスタービンエンジン排気ガス中の一酸化窒素濃度計測に適用した.ガスタービンは回転数一定の発電用であり,定格出力199kW(空気温度40℃)である.サンプリングプローブによって排気ガスを化学発光式NOxメーターに導き計測し,LIFの結果と比較した.7.7kWでの結果は,プローブ法が30±1ppm,LIFが35±4ppm,32±6ppm(2回計測)であった.両者は近い値を示しており,300〜400℃の比較的低温の排気ガスの計測では,両者とも信頼できると考えられる.但し,LIF計測は,直線上の濃度分布計測が可能であり,プローブ法の点計測に比べて優れている. 2.レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)の計測:本年度は,前年度石炭燃焼灰の計測用に開発した標準添加LIBS法を土壌中の微量金属元素濃度計測に適用した.カドミウム(Cd)と鉛(Pb)について計測した.Nd:YAGレーザーをフォーカスして,落下する粒径180〜425μmの園芸用土壌粉体をプラズマ化し,エシェル分光計によって各元素特有の発光波長強度を計測した.測定元素の化合物水溶液を土壌に混合した後に乾燥させて,標準添加試料を作成した.元の土壌はCdとPbを含まない.Cdの質量分率130ppmを添加したものを基本試料として,基本試料に100,200,500,1000ppmを添加し,5つの試料を508.58nmの波長で計測した.129±2ppmの結果を得た.検出下限界は約70ppmである.30ppmのPb基本試料について,同様な標準添加法を用いて405.78nmの波長を計測し,28.7ppmを得た.検出下限界は約3ppmである.これらの結果は,環境基準値150ppm以下の値であり,土壌汚染の迅速モニターとして利用できる.
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