研究概要 |
本研究は,デブリフリーで高品質かつ高出力の次世代リソグラフィー用EUV光源を開発するために,(1)電源蓄積エネルギーからEUV光への変換効率の増大,(2)デブリ発生の抑制,(3)これらによっても抑制できないデブリ除去のために放電ガスと相互干渉しないデブリシールドの開発,を行うことを目的としている。 昨年度,LC反転型電源および2段のMPC回路を用いることにより最終段の浮遊インダクタンスを可能な限り低減した電源回路を製作し,短絡負荷試験により,パルス幅260ns,最大電流22kAの放電電流を得た。また,放電部の低インダクタンス化のために,同軸二重ノズル放電部の設計を新たに行い,電極間にキャピラリが存在しない放電ヘッドを製作した。さらに,電気入力からEUV光への変換効率を増大することを目的に,効果的なRF予備電離によりプラズマジェットを生成し,これにZピンチ放電を行う準備が整えられた。 そこで,当初の計画にしたがって,RF予備電離されたプラズマジェットを用いたZピンチ実験を行った。その結果,プラズマジェットを用いた放電においては,真空容器内が弱電離プラズマで満たされるため,主放電時にプラズマジェット以外の部分で放電が生じ,Zピンチプラズマが得られないことがわかった。真空容器内を高真空に保っために,放電ヘッドの後方にディフューザを設置し,実験を行ったが,真空容器内の真空度が期待したほど改善されず,Zピンチプラズマを得るには至らなかった。そのため,ディフューザ用の真空ポンプを真空容器の排気に用い,真空度の改善を図っている。未だに,良く制御されたZピンチプラズマは得られていないが,真空度の改善および予備電離回路の入力調整による状況改善を行っている。なお,LIF用色素レーザの整備が終了し,流れの可視化の準備が整った。
|