研究課題/領域番号 |
17206028
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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研究分担者 |
末岡 和久 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (60250479)
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キーワード | スピン注入 / 強磁性体 / スピントランジスタ / スピン軌道相互作用 / ホイスラー合金 |
研究概要 |
室温で動作するスピン注入素子やスピントランジスタの動作、さらにスピンチャンネルから量子ドットへのスピンブロッケードトンネリングの実証のためには、キュリー温度が高く、半導体への高スピン偏極電子の注入のための高スピン偏極率をもつ強磁性体を探索が不可欠である。理論的には100%のスピン偏極率を有する鉄酸化物の一種であるマグネタイト(Fe_3O_4)は知られていたが、半導体上への満足できる結晶成長は報告されていなかった。今年度は、InAs上へInAs薄膜をホモ成長し、そのまま真空搬送した半導体上へのFe_<3-d>O_4の結晶成長をおこなった。その結果、InAs上をステップフロー成長している高品質のマグネタイトが生成できていることがわかった。InAs表面再構成パターンの上に成長したマグネタイトの表面再構成パターンが成長初期から明瞭に現れることからも強磁性/半導体界面の原子レベルでの急峻性、結晶の完全性が示唆されており、これは成長初期に島状成長してしまうFe結晶の成長の場合と異なる特徴である。また成長したマグネタイトは面内に磁化容易軸を有する強磁性体であることがSQUIDにより確認された。X線光電子分光により組成分析を行った結果、成長条件により酸素の組成費が制御ができ、マゲマイト(Fe_2O_3)からマグネタイト(Fe_3O_4)まで変化させることが可能であることがわかった(右図参照)。結晶や界面の完全性から高いスピン偏極率が期待されるが、極低温での相変化をさけるため高温でスピン偏極率やスピン注入効率を確認すること、磁気抵抗やスピントランジスタ構造でのスピン伝導評価はこれからである。
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