研究課題
基盤研究(A)
本研究ではInAs量子カスケードレーザーの活性領域におけるバンド構造と電気・光学特性の関係を明らかにすると同時に、どのように構造設計すれば特性の向上につながるかを理論、実験の両面から検討を行い、レーザーの高性能化を進めた。具体的には1.低温低閾値電流密度化、2.室温動作化、3.室温高出力化、及び4.高温動作を目指した。以下にその成果の概要を示す。1.低温低或閾値電流密度化振動子強度の大きいInAs/Al_<0.2>Ga_<0.8>Sb超格子構造を用いて、0.4kA/cm^2というこれまで報告されている最低閾値電流密度(液体窒素温度)に近い電流密度を実現した。又観測された発振波長(10.1μm)は設計値とほぼ一致した。2.室温動作化熱活性型のフォノン散乱による励起サブバンドへの注入効率の減少を抑えるために、励起サブバンドの波動関数が局在した発光層構造を用い室温パルス発振に成功した。このとき観測された室温(300K)における閾値電流密度は12kA/cm^2であり、発振波長は8.9μmで設計値にほぼ一致した。又最高動作温度は305Kであった。3.室温高出力化注入層のドーピング濃度を増大させ、注入電流のダイナミックレンジを増大させることで、室温においてピーク出力100mW以上の高出力化に成功した(発振波長12μm)。又室温における閾値電流密度を4.OkA/cm^2まで低減させることに成功した。観測された最高動作温度は340Kであった。4.高温動作化発光層として結合量子井戸を用いた構造に注目し構造と利得係数及び最高動作温度の関係について調べた結果、利得係数が最大となる構造で最高動作温度+100℃を実現した。このとき観測された発振波長は6μmで、閾値電流密度は15.5kA/cm^2であった。
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Electronics Letters Vol. 49、 No. 3
ページ: 520-522
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Japanese Journal of Applied Physics Vol. 44, No. 4B
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Applied Physics Letters Vol. 87
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