研究課題
我々はこれまで、「人の様に柔軟に認識・判断の出来る」VLSIシステムの開発を、独自の心理学的脳モデルに基づき進め、「ここに在るのは何か?」を柔軟に認識できるシステムの基礎を創った。本研究課題では、この研究をさらに前進させ、「それが、何をしているか?」といった、動作・行動の意味を理解するシステムの構築を目指す。本年度は、その基本となる「動き解析CMOSイメージセンサVLSI」のハードウェア・アルゴリズムと、動きを検出するための新たなVLSI回路の研究を行った。アルゴリズムの研究では、動画像の一画面を60個の小領域に分割し各々の領域での動きを追跡した。各領域内で画像の縦と横のエッジを検出、これらのエッジフラッグをx, y-軸上に各々投影してエッジヒストグラムを生成、その時間追跡によりローカルな動きを求めた。輝度値ではなくエッジ情報を用いたことにより、計算コストの極めて低い演算方式で、動き検出の精度を劇的に向上できた。さらにこの手法の有効性を示す目的で、Ego-Motion Detection(視覚像の変化から自分の動きを感知する)への応用を行った。小領域で検出した動きを統合して特徴ベクトルを生成、テンプレートマッチングの手法でEgo-Motion Detectionを行った。カメラの前進・後進、左右のパン、上下のティルト等の動作をある場所で学習させ、全く異なる場所でテストを行ったところほぼ100%の正解率が得られた。回路技術としては、CMOSイメージセンサに時間領域での演算機能を備えたアナログ演算ユニットをピクセルごとに配置する方式を新たに提案した。このチップは、時間微分・空間微分を超並列で実行し、結果をデジタル情報として提供する。テスト回路を設計・試作・測定することにより、オプティカルフローを毎秒400フレームという高速で演算処理できることを実証し、本アーキテクチャーの有効性を確認した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Proceedings of 2006 IEEE International Symposium on Circuits and Systems (ISCAS'06), Island of Kos, Greece, May 21-24,2006 (刊行中)
Proceedings of 2006 IEEE International Conference on Acoustics, Speech, and Signal Processing (ICASSP 2006), Toulouse, France, May 14-18,2006 (刊行中)