研究概要 |
1.全光論理ゲートデバイス能動多モード干渉(MMI)結合器に基づく全光論理ゲートデバイスについて,パルス光間の相互位相変調を解析するための新たなモデリングとシミュレーション手法を開発した.パルス光伝搬時のキャリア分布とフォトン分布の時間変化を自己無撞着的に決定する方程式を導き,有限差分法によりこれらを解くことを可能にした.この手法を用いて,動的な相互位相変調とキャリア回復の解析を行った. 2.全光フリップフロップデバイスMMI双安定レーザ(BLD)型の全光フリップフロップについて,伸張歪み多重量子井戸活性層を導入することによって,消光比16dBの偏光に全く依存しない全光フリップフロップ動作を実現した.同素子において動特性を測定評価し,立ち上がり時間8ns,立ち下がり時間580ps,動的消光比15dBという良好な値を得た. 3.集積化可能光非相反デバイス強磁性アンチモン化マンガン(MnSb)の導入による高温動作可能な非相反損失導波路型光アイソレータを開発した.まずInGaAsとMnSbの二重クラッド層構造の電気・磁気特性を調べた後,同構造を有するプロトタイプデバイスの試作を行った.次に,光学損失の低減を目指したMnSb単一クラッド層構造素子の伝達行列法による設計と,素子試作を行った.最終的に,アイソレーション比,挿入損失,動作温度範囲として,6.0dB/mm,4.9dB/mm,20〜100℃という良好な性能を得た. 4.デジタル全光集積回路プロトタイプの解析・設計昨年度に引き続き,全光論理ゲートと全光フリップフロップで構成される基本的な全光パケット処理回路を構成し,全光処理によるパケット転送の実証実験を行った.本年度は特に,多波長光パケットへの適用性につき検討し,320Gbpsスループット(40Gbps×8波長)を実証した.
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