研究概要 |
1.高周波パルス電子ビーム発生用GaAsエミッタを開発するため、ウエットエッチングを用いたGaAsエミッタ製作技術の確立を行った。N, P-TypeのGaAs基板を用い、2極型エミッタを製作した。(NH_4)_2S_x溶液表面処理を行うことにより、表面酸化物の除去、平坦性の改善、大気中での自然酸化膜の形成を遅らせることができ、エミッションの立ち上がり電圧を低下させる等、放射電流特性の改善を行えることを確認した。P-Typeにおいて、波長532nmのレーザを照射し、アノード電圧750Vでおよそ平均190pAの電流増加を得ることができ、光照射によるパルス電子ビームを形成できることを確認した。次に、3極型エミッタ製作プロセスの基礎を確立した。2極型を基に絶縁膜となるポリイミド、ゲート電極となるCrを形成し、エッチバック法により先端を露出し概形を製作した。また光照射部を裏面とする裏面メンブレン構造エミッタのプロセスの基礎を確立した。裏面を30μm程度の厚さにし、表面に均一なエミッタを作製した。このエミッタからアノード電圧1000Vで10μA程度のエミッション電流を得た。 2.シリコン電界放射微小電子源を製作し、微小電子源からの直流状の電子ビームをアルミ製回折格子上を通過させ、スミスパーセル放射光を観測した。ビーム量は200nA、加速電圧は25kVから30kV、回折格子のピッチは416nmである。観測したスミスパーセル光は、350nm付近の紫外領域で4次光、400nm付近で3次光、600nm付近で2次光、1300nm付近で1次光である。
|