研究概要 |
分子とシリコンCMOS集積回路と融合した新しいデバイスを創成するため、分子のオンチップ計測技術と、電気的に分子反応を検出するバイオセンサアレイ集積回路の研究を進めた。 1.単分子のオンチップ計測技術 1個の分子による信号は微弱であり、精度良く安定に検出するには、分子直下でオンチップ計測する必要がある。これを行うためのアナログCMOS集積回路を設計し、標準CMOSプロセスでチップを作成した後、電子線描画や自己組織化単分子膜を用いた分子定規法により、15nmのナノギャップ電極を形成した。対象分子として数GΩの電気抵抗を持つポリオクチルチオフェン(Poly(3-octylthiophene-2, 5-diy1))を用い、CMOSアナログ集積回路により低インピーダンス信号に変換して外部に伝えることにより、高いS/N比、高速計測が可能となることを示した。 また、金電極間にLangmuir-Brodget法により直径3nmの金コロイド粒子を最密充填構造で配置した。金コロイド粒子聞はドデカンチオールによって間隔4.6nmで架橋されており、DNA置換前後およびハイブリダイゼーション前後での電気信号変化を検出した。 2.電荷検出型バイオチップの研究 バイオ分子の特異的結合を電荷として検出する新しいCMOSアナログ集積回路を提案した。反応検出に拡張ゲート型MOSトランジスタを用い、高密度(従来の1/1000)、低消費電力10nW(従来の1/1000)、高精度(従来の100倍)のセンサインターフェース回路を実現し、超並列・高スループットでバイオ分子反応の検出が行える見通しを得た。 試作したCMOS集積回路チップに金電極を形成し、チオール修飾オリゴヌクレオチドを固定、ターゲットDNAとのハイブリダーゼーションを16x16のアレイ上で検出した。これによりDNA反応の空間分布をリアルタイムに時間発展として捉えることに成功した。
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