研究概要 |
本年度は研究計画に従って以下の研究を行い,成果を得た. 1.可視光域伝播特性の測定とモデル化 実験と数値解析により可視光域の空間伝播特性の測定・モデル化を行った.数100Mbps以上の場合には,壁での反射によるマルチパスの影響が大きくなり,符号間干渉が発生することを示した. 2.LEDの線形応答および非線形応答の測定とモデル化 専用LSIと評価基板を製作して様々な可視光LEDの応答特性を測定した.高速オシロスコープを用いた波形振幅の減衰とアイパターン測定を通して現在市販されているLEDの性能を明らかにした. 3.可視光受光機の応答測定とモデル化 受光機として浜松ホトニクス社制のアバランシェフォトダイオードとフォトICの評価を行った.受光機に用いられているセンサと内部回路の構成によって光伝送速度が変化する事を実測してそれをモデル化して説明を行った. 4.送受信機の指向性の測定とモデル化 本年度は特に送信機側の測定を行った.LEDを用いたスポットライト・ライン型照明器具・スクウェア照明器具を作成し,指向性の測定を行った.使用するLED・レンズの有無・配置するパターンを変化させることにより,放射角を5°から70°まで調節できることが明らかになった.来年度以降はこれらの照明を用いて通信特性についての評価,さらに受信機側の測定・モデル化を行っていく予定である. 5.近接可視光通信の検討 携帯電話などのLEDランプを利用した近接可視光通信について,波長多重による高速化を提案しシミュレーションにより評価した.多重する波長数を増やすほど速度は向上するはずであるが,同時に干渉も増加するため多重できるLED数には限界があることが明らかになった. さらに別の応用例として水中通信への適用を提案し,実験・解析を行った.水中では電波を用いることができないため,可視光通信は非常に有効な通信手段であることを示した. 6.照明通信の検討 2次元送受信機を用いた並列高速通信を提案し,照明条件・通信条件の検討を行った.この方式は照明器具と通信機器の両方の機能を満たすことを確認した.さらに,1Gbps以上での通信を目指して研究・実装を行っている.
|