研究分担者 |
太田 秀樹 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (80026187)
竹村 次朗 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (40179669)
井澤 淳 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (70345388)
吉迫 和生 鹿島技術研究所, 主任研究員 (80416742)
野城 一栄 鉄道総合技術研究所, 副主任研究員 (70425932)
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研究概要 |
今日,都市圏空間の高度利用は必然的に地下空間の利用を促進させている.これまでに地上に設置されてきた施設でさえも,都市居住環境の質の向上・保全のために地下に設置され,高架方式の鉄道・道路施設の新設は周辺住民の合意を得ることが困難になりつつあり,都市トンネルの建設契機は増大している.特にシールドトンネルと比べて建設費も安価で比較的容易に任意断面を構築できるNATMトンネルの適用性の拡大が期待されている.都市NATMの耐震性の必要性は,土木学会トンネル標準示方書でも強調されているものの,耐震設計の確立には多様な地盤条件下と幾何学的制約条件における地盤と構造物の相互作用に関する詳細なメカニズムの把握が要請され,現在でも明確かつ合理的な耐震設計法は確立されていない.NATM工法では地山自体のアーチ効果を期待し,即ち緩みを許し,覆工にかかる土圧はシールド工法と比較してかなり小さくなる.そのメリットであるアーチ効果が,地震時或いは地震後どこまで有効に保持されるかという点に関しては,適応土質,トンネル形状を含めほとんど明らかにされていない。 本年度はアルミニウムトンネルを用いた遠心力場でのせん断土槽実験を行い,以下のことを明らかにした。 (1)せん断を受ける前,トンネル覆工にはTerzaghiの緩み土圧に相当するかそれ以下の土圧が作用しており,理論値を大きく下回る. (2)緩み土圧はせん断によって解消され,ある一定の土圧分布に収束する.この土圧分布はトンネルの変形によって,クラウン部で小さく45°および135°部で卓越した形状となる. (3)地震時に作用する曲げモーメントは,トンネル覆工に作用する全土圧に影響される.つまり緩み土圧を期待できる場合,地震時の断面力は小さくなると期待できるが,せん断によりアーチ効果が解消された状態でせん断された場合,大きな断面力が作用する危険がある.
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